語り夜ver.1 『物語に彩りを 第五章』
物語に彩りを
第五章 71年間、塗り重ねられた色
長い話になりました。おや、もうすっかり日が暮れてしまった。
一段とまた冷え込みましたな。
ピートが暖炉の前で眠り込んでしまいましたね。
御老人、せっかく来ていただいたのに、こちらが話してばかりで申し訳ない。
よかったら夕食でも一緒にいかがですか。
ああ、そうでした。
その絵、見せていただけますか?
御老人はいつから絵をなさっているのですか?
ほう、女性のデッサン画ですか。技術卓越でいらっしゃる。
少し下を向いて微笑んでいる表情、
優しげで母のようなあたたかさ、穏やかさ。
デッサンなのに、どこか色があるような描き方ですな。
御老人、この絵は一体…?もしや、あなたのお名前は―…?
***
これで、この物語はおしまいのはずでした。
ですが、書き終えてから早二ヶ月。
パウルがどんな人生を過ごしてきたのか?
今回はその部分を敢えて伏せて書いたのですが、やっぱり知りたい。
今回は5章まででしたが、
次の章からはパウルが語り始めなくちゃならないような気がしています。
いつか、書きたいなあと思います。
Special Thanks
自由気ままな文章を指南してくれた雨情な師匠、その仲間たち
提出前夜に一緒にいてくれた友人
ありがとう。
そして、こんなしょーもない小さな物語ですが、
クラクフで出会った、ピアスの似合う女性だった画家と、その息子に。