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たまに映画、展覧会、音楽など。

「リヒテンシュタイン展」(国立新美術館)

きらびやかで豪勢な予感。が、的中の当展。
そもそもリヒテンシュタイン城がこんなにもロマンチックだ。

オーストリアとスイスの間にあるこの小さな国(≒小豆島)は、
1719年に独立し、伯爵(現在は国家元首兼)がずっと国を守ってきた。
今も伯爵家が住むこの城は、実は「カリオストロの城」のモデルという話。
彼らがこの壮麗な美術コレクションを集めたという
(それが伯爵家の任務のひとつだった)。

ウィーン郊外に「夏の離宮」を立て、1807年から美術品を展示してきた。


この完璧なシンンメトリー。さすがバロック調。
しかしリヒテンシュタインも伯爵家もずっと安泰だったわけではなく、
1938年、オーストリアがドイツに併合され、戦争が悪化。
「夏の離宮」も閉じられたという。
500年かけて集めた3万点の美術品を、
(3万は、イギリスに続き世界第二位!≒小豆島なのに!)。
ナチスは国外に出すことを認可しなかったため、
言葉通り、命がけに国外に運び出したとか。
そして、66年もの時が流れ、2004年――「夏の離宮」公開。
今回はそこから選ばれた美術品が初めて海を越えて日本に来日したという。

さて、どんな展覧会だったのか。
もうとにかく、きらびやか。バロック。壮麗、華麗。
会場に入るとまず出迎えてくれる「エントランス」コーナー、続く「バロック・サロン」。
天井画、壮麗な椅子や机や鏡、彫刻、工芸品、家具、壁に架けられた大きなタスペトリー。
キャプションは一切なく、空間そのものがアート、というか華麗なる伯爵家の空間。
これは実際の「夏の離宮」の展示方法を真似ており、
バロック調の宮殿に合うように室内装飾に調和した美術品が並べられている。

さらに足を進めると、
・「リヒテンシュタイン伯爵家」
   ……歴代の宝や、伯爵の肖像画が並ぶ。
     現伯爵は、意外にも(?)イケメンだった。まさにオウジサマ。
・「名画ギャラリー」
  ……ラファエロルーベンスレンブラント、カナレット、ヴァン・ダイク。

・「クンストカンマー」(美と技の部屋)
  ……からくり酒器が面白かった。ネジをまくと、酒を入れた器(馬の形をしている)が
    動き出し、それが目の前でとまった人がその酒を飲まなければならないという、
    なんとも合コンチック、テキーラショックのような遊び物があった。
などなど、美術・工芸が並ぶ。

良かった絵を数点紹介。
ルーベンスの「クララ像」(今回のポスター絵)も確かに良かった。

しかし、当時5歳にしては上品すぎるような気もした
(彼女は12歳でこの世を去ってしまう)。

他にいいなと思ったのが、アメリング(オーストリアの宮廷画家)「夢に浸って」。


女性の横顔。
本を読んだあとなのか、映画を観たあとなのか(この時代にはないけれど)
何かにひどく心を揺さぶられたような顔。何かに心奪われたような顔。
黒いベールもまた、意味深さを誘う。こういう女性像は何かしら事情がありそうで好きだ。
フェルメールの「真珠の・・・」少女は本当に何を考えているのかわからないけれど、
この彼女は心情が伝わってきそうで、そこが良い。

この絵は最終部屋の、最後から二番目に陳列されている。
ちなみに最後の絵もアメリングの絵で、
題名「マリー・フランチェスカリヒテンシュタイン侯女2歳の肖像」。
実際の絵を見てもらいたく、ここでは絵は載せないでおきます。
ミュージアムショップでジグレー版画でもポストカードでも、一番人気を誇っていたこの絵は、
会場で初めて見るのが一番のお勧め。
この展覧会は12月23日までは六本木ですが、
1月5日から3月7日までなんと、高知県立美術館、
3月19日から6月9日までは京都市美術館で巡回。
ぜひ、御覧ください。