たまに映画、展覧会、音楽など。

「夏目漱石の美術世界展」(東京都藝大美術館)

夏目漱石の美術世界展」を鑑た。
@藝大美術館
http://www.tokyo-np.co.jp/event/soseki/outline.html

まさに漱石脳内美術館。
「吾輩」の装丁から始まり、
漱石が留学時代に見た
ターナー、ロセッティ、
ジョン・エヴァレット・ミレイ
サルヴァトール・ローザ……。
大学時代によく見た懐かしい名前がずらり。

中盤では『草枕』『三四郎』などから、
モチーフになった作品の紹介。
小説の引用部分もあるので、
小説を知らない人でも楽しめる。
黒田清輝和田英作が、
登場人物のモデルだなんて知らなかった。

そして何より漱石の美術傾倒ぶりにびっくり。
青木繁岸田劉生、萬鉄五郎
……この時代、まさに洋画壇の全盛期!
漱石の芸術論や数々の手紙をみれば、
彼らと深い親交があったことが分かり、

美術と文学が近い時代だったんだと改めて実感。
いいなあ、この時代。

実は漱石自身も絵を描いていて、
最終コーナーには自筆作品と原稿があった。
文学展と美術展のはざまと言うのか、
どちらかの知識がなくとも楽しめるというのがよい。
こういう展覧会はもっとあっていい。

村上春樹の小説に音楽が多いように、
江國香織のエッセイに絵画に関するものが多いように、
伊坂幸太郎の小説に芸術家が多いように、
どこかしらリンクはしているんだけど、
現代とはリンクしていない。
現代の文学や美学はもっと重なっていい。
もっと乱れていい。


ところで。
芸大からの帰り道、谷中銀座を通る。
ここはかつて城下町だったところ。
幸田露伴五重塔』の舞台だったり、
お寺が多い町。
今は古民家を改装したブックカフェや古本屋、
オシャレな雑貨屋が並ぶ。
おみやげ屋が軒を連ねるは小京都。
階段を降りながら見る夕焼け。

良い雰囲気だなー、
ここで画廊喫茶かbarをやりたいなー。
物価もそんなに高くはないらしい。

そこには、古本や雑誌、アートを置いて。
この業界に入ってわかったけれど、
ほんの少し身体にアルコールを入れて、
絵を鑑ると、全然違ってみえてくる。
ワイン片手の絵画鑑賞は本当に至福。

自分で創ったフリーペーパーもおいたり。
小説家と画家が集まる場所になれば、いいな。

上野の美術館からでも歩いて行けるし、
根津・千駄木は活気がある。
アートが生まれる場所があるって素敵!

そんなアートな半日でした。