たまに映画、展覧会、音楽など。

映画「エベレスト」

映画「エベレスト」

最近よく山に登る。
それに伴って、本や映画も山に関するものが多くなってきた。
今話題の映画「エベレスト 3D」。
1996年のエベレスト大量遭難事故をもとに描かれた今作は、
極限状況での人間の描き方や、
もはや人間にはどうすることもできない荒れ狂う自然の過酷さが
密に表現された映画。
5,000メートル程度でも、少し歩くと息が切れ、
寝ている姿勢からいきなり起き上がると目眩をおこす。
そして8,000メートルともなると、
酸素ボンベが無いと正常な判断をとることも容易ではなくなり、
立っているだけで死に近づいていく。
この高度"デスゾーン”の表現はピカイチだ。

  • 26度の雪山の斜面で「熱い」と言って服を脱ぎ出す人、

一歩ふみ間違えただけで、音もなく滑落していく人、
空になった酸素ボンベを必死に吸う人…。
そんな人間たちとは関係なく、自然は荒れ狂う。

エベレストの鋭角な山頂が、空に突き刺さっているように見えて、
その画が今でも鮮明に思い出される。

そもそもこの映画は、『空へ』という本がベースになっている。
この事故に遭遇したアウトドア雑誌ライター・クラカワーが体験を綴った本。
遭難小説というよりも、
エベレストでのガイド付登山が流行し、事件の原因ともなったと触れていて、
ジャーナリズム的要素が強くて、読み応えがあった。
そういう意味ではやっぱり
ハリウッド映画はドラマ仕立てになっていた気がする(仕方ないけど)。
そして、キャストの着ている服がほぼNorth Faceだったのも気になった…
(少しマムートがあったくらいでモンベルなんてひとつもなかった)。

***
現在のエベレストは、
昨年4月に16人が亡くなる雪崩事故、
今年はネパールの地震で20人以上が死亡。
商業目的での登山は禁止され、
さらに今年9月には標高6,500メートル以上の
高峰の経験のない登山者の規制も発表された。
エベレストの遭難事故から20年。
山の姿が、また変わろうとしている。