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たまに映画、展覧会、音楽など。

「エリザベス・ペイトン展:Still life 静/光」(原美術館)

 

どんな絵なのかを言葉で表現し難しい絵だった。でも、とてもよかった。 色も形も構想もマチエールもとてもよかった。

 

人物画、静物画とあるけれど、最初はマティスに少し似ていると思い、マネのようだという感想を聞き、ピカソのような佇まいの絵もあれば、「そうだ、ドガだ!」と思う作品もあった。(実際に解説に大家たちに典拠しながら、独自の色を付けていったとあった)。

要するに、オリジナリティがとても高いのだと思う。だから私には、それに見合う言葉が見つけられなかった。(独特のタッチとか、明るく透明感のある色彩とか、画面一杯に溢れる画力とか、そういうのであれば書けるけれど、でもそれは抽象的すぎる)

 

ただ、最初から最後まで変わらなかったのは、江國香織さんが好きそうな絵だということ(これも抽象的)。江國ファンが言うのだから、たぶんこれはもう絶対だ。

《眠るカート》(少女が本をもったまま、自分の腕を枕にして居眠りをしている)や、《ティム(横顔)》(紫や青、オレンジなど様々な色を使って描いた男性の横顔)など、そこにまるで物語が潜んでいそうな絵ばかりだからと思う。

特に江國香織らしいなと思ったのは、色だった。青、オレンジ、赤、ピンク、黒など、全ての色が油絵にも水彩画にも清澄感を称えたまま、色濃く描かれていた。それがどこか、江國香織の文体を思い起こさせた。

 

1965年生まれ、ニューヨークで美術を学んだペイトンは、1993年のチェルシーホテルの部屋でおこなわれた個展を契機に、人気画家となる(日本でも過去に展覧会をしている)。キスし合う人物画には、女性特有の艶めかしさがあって、一方、静物画には女性らしさはなく、そこには激しさがあって本当に形容しがたい画家。

 

原美術館の真っ白な回廊に、ペイトンの色とりどりの作品はよく似合っていた。

 

http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum/EfqidXFuato43SHDrU1Y/