たまに映画、展覧会、音楽など。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

多和田葉子『雪の練習生』

雪の練習生作者: 多和田葉子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/01メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (50件) を見る 「読書をするなら、自分には理解できないかもと思う本を選べ」 という言葉を聴いたことがあるけれど、この本はまさに…

江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』

なかなか暮れない夏の夕暮れ作者: 江國香織出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2017/02/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 海外のサスペンス小説にのめり込んでいる中年男性の小説。 と書いてしまうと何だか渋いような気がしてしま…

「エリザベス・ペイトン展:Still life 静/光」(原美術館)

どんな絵なのかを言葉で表現し難しい絵だった。でも、とてもよかった。 色も形も構想もマチエールもとてもよかった。 人物画、静物画とあるけれど、最初はマティスに少し似ていると思い、マネのようだという感想を聞き、ピカソのような佇まいの絵もあれば、…

多和田葉子『溶ける街 透ける路』

溶ける街 透ける路 作者: 多和田葉子 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2007/05 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (30件) を見る 「あ、この作家は当たりだ」と本を開いた瞬間にわかってしまい、思わず閉じてしま…

塩田武士『罪の声』

罪の声作者: 塩田武士出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/08/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る グリコ森永事件をモデルにした小説である。社長の誘拐や、菓子への毒物混入などの重罪を犯したこの事件は、警視庁による重要指定事件と…

小川洋子『アンネ・フランクの記憶』

「『アンネの日記』に影響を受けて作家になった」と、 小川洋子は言っている。 その小川洋子が、アンネのいたアムステルダムを訪れ、 アンネと関わった人たちに話を聴いたというのが本書。 『アンネの日記」でしか会ったことのなかった人たちが、 実際に現代…

西加奈子『i』

i(アイ)作者: 西加奈子出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見るアイデンティティのアイ、愛情のアイ、虚数という存在しない「i」、私の「I」。移民生まれで、アメリカ人と日本人の裕福な夫婦のもとに…

原田マハ『太陽の棘』

私は絵が好きだ。日本画西洋画かかわらず。しかし、明治〜昭和の日本人画家の描く洋画は、 西洋絵画(特に印象派)を取り入れたにも関わらず、 どことなく暗く、おどろおどろしいタッチのものが多く、 私はあまり好きではない。 (もちろん好きな画家はいる…

村上春樹『騎士団長殺し』

この作品は今後、村上春樹文学論を語るには決して外せない作品になる。面白さや読みやすさはないけれど、 村上春樹史上の最高傑作かどうかは疑問だけれど、 文学作品として、とても異色で、非常に高度な作品であると思う。 読みながら「ああ、いつもの村上春…